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2019.05.22 [相続]
相続 遺言書②~大田区の司法書士事務所より・第5回コラム
こんにちは。
ほりぐち法務事務所の鈴木です。
今回は,前回お伝えした遺言書の中の公正証書遺言について書いていきたいと思います。
●公正証書遺言…遺言者の指示により公証人※1が筆記した遺言書。遺言者、公証人および2人以上の証人が内容を承認の上署名・捺印したもの。自筆で書く必要がありません。
※1 法務大臣に任免され、公正証書を作成する。多くは裁判官や検察官、弁護士など法律の実務に深くかかわった人から選ばれ、遺言書作成においては、法的有効性を確認しサポートする。
公正証書遺言は公証人に書いてもらうため,公証人との打ち合わせ前に準備することがあります。
公証人との打ち合わせの前に下記を準備していくと作成がスムーズになります。
1.遺言内容の整理
持っている土地や建物(例:納税通知書、名寄帳)
所有している銀行口座の口座番号(例:通帳、キャッシュカード)
株式(例:証券、株券)
2.証人を見つける
公正証書遺言が認められるためには公証人だけでなく証人が2人必要に
なります。
証人が見つからない場合は公証役場に有料で紹介してもらえます。
自分で探す場合は下記の条件に当てはまらないことの確認が必要です。
・推定相続人や遺言によって財産を相続する人とその配偶者や直系血族
・公証人の配偶者と4親等以内の親族
・公証役場の書記官や職員など
・遺言書に記載された内容が読めない人や理解できない人
3.必要な書類をそろえる
・遺言者の印鑑登録証明書
・遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
・受遺者(遺言によって財産を受け取る人)の住民票
・不動産がある場合は登記簿謄本,固定資産の評価証明証など
・その他,対象財産や遺言の内容によっては追加で提出を求められる場合が
あります。
公証人にお願いするまでこんなに準備があるなんて,ふぅーって感じですね(・_・;)
司法書士に作成のサポートを依頼した場合には、戸籍謄本や住民票,登記事項証明書,評価証明書等を代理で取ってもらうことや,遺言の文章案作成もしてもらえます。
上記の準備が整ったら公証人に公正証書遺言の作成を依頼できます。
公正証書遺言のメリットは安全で確実なところです。
公証人が遺言の有効性を確認してくれるうえ、
公証役場で原本を保管してもらえるため紛失の可能性がなくなります。
また、死亡後に裁判所で検認手続きをしてもらう必要が無いため、相続人の方の負担は軽くなります。
デメリットは、自筆証書遺言に比べ、手続きに時間と費用がかかります。また,内容を公証人や証人に知らせなければなりません。
最後に,秘密証書遺言について書いていこうと思います。
秘密証書遺言は公正証書遺言と似ています。
●秘密証書遺言…遺言者が遺言書に署名・捺印の上封印し、封紙に公証人および2人以上の証人が署名・捺印等をした遺言。
作成の流れは下記の様な感じです。
(遺言書はワープロでも、他人が書いても、点字でも外国語でも作成可)
※公正証書遺言の場合はこの部分を公証人が作成します。
2.遺言者が遺言書を封筒に入れ,遺言で用いた印で封印する
3.遺言者が公証人と証人2人以上の前に封筒を提出し,自己の遺言であること,氏名住所を伝える
秘密証書遺言のメリットは遺言の内容を秘密にしたまま公証人に遺言の存在を証明してもらえるところです。
デメリットは遺言の内容を公証人がチェックしないため遺言に不備があった場合は無効になる可能性があります。また,公証人は遺言書を保管することはありません。
遺言の内容は公証人の関与がないので自筆証書遺言と同様に相続開始後に遺言の検認を家庭裁判所に請求しなければなりません。
もし自分が遺言を書く側となったら,公正証書遺言で専門家の方にお任せした方が確実かなと思いました。
皆さんならどう思いますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。