コラム

2024.07.25 [相続]

将来の判断能力の低下への不安に備える制度について その1

梅雨も明け,毎日とっても暑い日が続いておりますが,お元気でお過ごしでしょうか🌞

配偶者も亡くされ,お子様もいらっしゃらないひとり暮らしの方など,ひとり暮らしのご高齢者が増加し続けている昨今,将来のもし自分のことをできなくなってしまった時の財産の管理や身の回りの世話などに不安に感じるのは当然のことと思います。

今回は成年後見制度の一種類でありますが,判断能力があり,自分であれこれ決められるうちに自分の意思で生き方を決めて,万一の認知症やその他病気などで判断能力が低下してしまった時に,代わりにしてもらうことを契約で決めておく「任意後見制度」についてです。

「任意後見制度」は話し合いでどこまで任せるかを自由に決められます。
具体的な契約内容を挙げてみますと財産管理では,すべての財産の管理,建物賃貸借契約,金融機関との取引など,身上保護では,医療契約,入院契約,介護契約,福祉関係施設入退所の契約の代理,要介護認定の申請,物品の購入・代金支払いなどの事務です。契約内容で決めた以外のことはできませんし,取消もできないそうです。

周りに任意後見人を頼める方がいらっしゃらなければ,公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートなど各団体に相談,依頼することもできます。
こちらは司法書士会の外郭団体として,成年後見に特化した独自の研修制度を設け,登録している司法書士は,日々情報の交換や知識のアップデートを行っています。

任意後見人のメリットの一つは,判断能力があるうちに任意後見人と自分の希望や考え,好みことなどを話して知ってもらうことができることにあるようです。判断能力が低下してしまった後でも,任意後見人を通して,介護施設などの入居先で直接関わっていく方々に対し,ご本人のお人柄や嗜好などを伝えてもらえることになります。また,元気なうちでも任意後見人の候補者に判断能力の低下を見守ってもらうこともできるそうです。
将来,もし判断能力が低下しても,自分らしく生きていくための選択肢の一つと言えるかと思います。

任意後見契約は,下記のように本人の能力が低下したと判断され,家庭裁判所が任意後見監査人を選任した時から効力が生じます。



取り急ぎの制度のお話となりましたが,今回はここまでとさせていただきます。
将来の不安に備える続編また取り上げてみます。
これからまだまだ夏本番ですね🎆どうぞご自愛下さい!